Hamaguri Ryoko-Soloris Works

ソロ活動のリス改め「はまぐり涼子」、絵を描く。

はまぐり映画日記20 「ベニスに死す」

ずっと気になっていたヴィスコンティ映画の一つで、

衣装の美しさ、上流階級の優雅な生活、少年の輝く美しさが印象的でした。

知識で観るより、美的感覚で楽しませてもらった作品です。

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はまぐり映画日記19 「万引き家族」13, Jun, 2018

散らばった思考をまとめる私の力がイマイチなのか、

ぱんぱんぱーんと適切な言葉がでてこない映画です。

正直なところ、本能的に観たい!!!という衝動よりも

パルム・ドール受賞の大ニュースの波に野次馬的に乗って

観に行ってしまった感も否めません。(笑)

とはいえ、映画好きの友人と話をしていた時に

私が二十代に意識的に観に行った数少ない邦画の一番最初の映画が

是枝監督初長編デビューの「幻の光」だったことに気付いたので、

もう少しいずまいを整えて鑑賞に臨もうと思ったのも理由の一つです。

そして、観て一日経ってから書いた感想が以下。

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モヤってますね。

でも、この整理しきれていないモヤっと感も描き残しておいて

数年経ったときどう思うかもちょっと楽しみです。

友人が、「是枝さんの映画ではいろんな家族のきずなが描かれているけど

海街diaryの雰囲気を引きずったまま観るとトンデモナイよね」と言いました。

ドキュメンタリストだった是枝さんの作品の印象深さは

じわじわと来るのですが、まだ消化できない感じです。

とにかく今強烈に残っているのは、出てくる人物たちの

風下にも置き難い泥臭く不完全な人間ぶり。

でも、彼らの作った家族のきずなは揺れながらもブレながらも

存在していた感覚が残ります。

私は、もう少し消化に時間がかかりそうだな、と思った映画です。

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はまぐり映画日記18 「犬ヶ島」1, June, 2018

日本文化と、日本の映画や俳優への沢山のオマージュが込められた

とっても面白いストップモーションアニメ。

パペット達のおもしろいこと、おもしろいこと。

そして、豪華絢爛過ぎる声の出演陣。

最後の方にちょっとだけ出てくる筆頭執刀医の役が

渡辺謙さんなのですが、手術中のつぶやきがたまりません。

ああ、なんかまだ見逃しているものがいっぱいありそうです。

もう一度観に行きたい!

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はまぐり映画日記17 「レディー・バード」1, June, 2018

「つぐない」の少女の時も可愛らしかったけれど、

23歳で瑞々しい等身大の17歳を演じるシアーシャ・ローナン

好きな女優さんの一人です。

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今や中年の私からすると、娘の気持ちと母の気持ちどちらとも

遠ざかりつつ、近づきつつ、どちらでもない中でのほどよい共感。

あああの頃って色々揺れてたな、という感情も

恥ずかしいようなくすぐったい気持と共に湧きあがりますが、

母親になっていてもおかしくない年頃になると

稼ぐことの大変さとか、色々経験してきたが故に

苦労してほしくない「よかれ」の思いが伝わらないこととか、

親側の気持ちにも近づけるのがいいなと思います。

どちらにも相手を思う心があって、でも上手く伝えられなくてケンカしちゃう。

そういうもどかしさも伝わる物語で、シアーシャの素晴らしい演技

ばかりが注目されがちだけど、相対する母や控えめな父、

怒鳴ってばかりの兄と居候の恋人たちの存在あってこそ

輝いているのだと思います。

一人目の彼氏役は、マンチェスター・バイ・ザ・シー

いまどきの少年を演じたルーカス・ヘッジス。

二人目の彼氏役は、いまをときめくティモシー・シャラメ

どちらもいい存在感でした!

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はまぐり映画日記16 「ピーターラビット」

大切な子供時代の児童文学が実写版映画になる場合、

思いきって話をアレンジしてしまうのは

違う物語として楽しめる一つの方法なのかもしれません。

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はまぐり映画日記15 「ラッカは静かに虐殺されている」30, May, 2018

非常にハードなドキュメンタリーです。

まずシリアの状況が非常に遠く感じられる人が圧倒的に多い日本では

なかなか観る人も少ないかと思いますが、私が行った日は

レディースデイということもあって割りと人が入っていました。

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2010年末に起こったチュニジアでの抗議運動から

アラブの春が始まり、独裁政権への反対運動がシリアでも起こりました。

シリア政府、それに抗議する反体制派、

その争いに紛れ込み内乱を更に複雑化させている

ISなどのイスラーム過激派の存在があるために、

いまや日本人の理解を超えた混乱状況です。

そんな中で、ISがシリア北部のラッカを制圧し、

街は荒らされ、公開処刑が続くとんでもない状況に

人々は追いこまれてしまいます。

名もなき市井の人々が家族を拘束され、拷問され、処刑されるという

事態に直面していたにもかかわらず

そんな状況は世界で報道されることもほぼなく、

たまに流れるのは大きな攻撃のニュースばかりでした。

 

そんな中、普通の市民である人々が秘密裡に

結成したのが「ラッカは静かに虐殺されている

(Raqqa is Being Slaughtered Silently)という集団です。

そんな彼らを追ったドキュメンタリーがこの映画なのですが(前置きながい!)

観る人は彼らの勇気に敬服する気持ちが起こると同時に、

無力感と恐怖と、彼ら市民記者が抱える見えない未来への不安も

感じるかもしれません。

私は、そうでした。全然頭がまとまらないままです。

彼らはシリアを脱出し、トルコに潜伏し、

ドイツへ逃げ、場所を転々と変えながら、

決死の覚悟でラッカの現状を伝える現地の記者たちと

連絡を取り、慎重に情報を発信していきます。

そんな国外の彼らにもISの手は忍び寄り、

彼らを脅迫し、報復の警告をし続けるのです。

RBSSの彼らも、自分たちが殺されるかもしれないことを

毎日覚悟して生きている。

そんな状況、私だったら耐えきれません。

 

すでにぼろぼろの彼らの精神を支えるものは何なのでしょう。

あるジャーナリストは、彼らの立場になって考えてみましょう、という。

けれど、それはあまりにも難しい話です。

ただ、私は耐えきれないだろうという想像だけは出来ます。

家族を、友人を次々と殺されたら、彼らを突き動かす原動力は

憎しみなのでしょうか。

真実を伝える、という誇りなのでしょうか。

 

子供が生まれ、その小さい手を握る一人の記者も

もう自分が二年後には生きていないかもしれないという。

私たち日本人が普通に今暮らしている状況では

想像を全く越えた話です。

 

宗教を悪用して正義を振りかざし粛清していくような

全く分かり合えない相手に対して、

自分はどういう行動をするのか。

ISに武器ではなく情報発信で立ち向かう彼らの姿を見ながら、

私は同じことができるという自信もなく正直途方にくれました。

 

この映画上映があった5月の始め、数年前に東京で開催された

小さなシリア映画祭でお会いした方がトークショーに出られました。

認定NPO「国境なき子供たち」で、ヨルダンにおける

シリア難民の子供たちの教育支援を行う松永晴子さん。

ヨルダンにおけるシリア難民支援 | 国境なき子どもたち

彼女とつい先日Facebookでこの映画についてやりとりをしました。

ジャーナリスト堀潤さんと彼女がお話した内容は

横浜シネマリンのウェブサイトで動画が公開中です。

期限があるかもしれませんがご興味あれば観てみてください。

ラッカは静かに虐殺されている | 横浜シネマリン

ついでに彼女の活動がわかる最新記事はこちら。

(自分が発言したままの記事にはなっていないと仰っていましたが最新のため)

「国境なき子どもたち」松永晴子さんか見たシリアの惨状 | 女性自身[光文社女性週刊誌]

 

戦火の中、誰かを失くして家族と逃げてきた多くの子供たち。

シリアのすぐ隣でそんな子供たちの教育支援をしている

松永さんの視点もとても大事な視点だと思いました。

RBSSの勇気ある行動を追うドキュメンタリーに対して

あまりに失うものが多い中、どこまで彼らは続けるのか、、、

そんな言葉を吐露した彼女は、映画を全否定してしまったなんて

仰っていましたが、私はそんな風には思いませんでした。

それくらい、色んな感情がこみあげてくる映画であると思います。

こういうものは、「めんどくさい」「いちいち関わっていられない」

そう思っている人も多いでしょう。

私だって、映画は観たけれど何か具体的なことができるかと

言われると正直なにも思いつきません。

けれど松永さんの活動はもっと頭に入ってくるし、

もっと身近に引き寄せられるし、こどもたちの間接的支援という形なら

何かできることがあるのかなと考えられるような気がしました。

どうぞご興味ある方は彼女のブログも面白いので

読んで見てください。文章が、いいです。

鯨を推しはかる気分研究所