シネスイッチ銀座 映画感想絵日記vol.66 『ヒトラーに屈しなかった国王』Dec., 15, 2017
シネスイッチ銀座 - 「ヒトラーに屈しなかった国王」 いよいよ明日16日(土)より公開です!... | Facebook
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この映画を観終わって感想をまとめようと考えていた時に、
あの本!と思った本があります。
湯浅誠さんの「ヒーローを待っていても世界は変わらない」という本です。
4年くらい前に企画して湯浅さんを鎌倉にお招きし
ゆるやかな対話の場を設けたことがありましたが、
その時は主に「貧困」がテーマでした。
上記の本は、2009年から12年まで民主党政府の内閣参与として
関わった経験をもとに、貧困と民主主義について語ったものです。
この本を読んで、私たち日本人は、いまだに民主主義とはなんぞやの
部分からきちんと話し合ってきたという確固たる土台がないように
感じたのを覚えています。
そんなことを思い出しつつ、めくったページにはこんな文章がありました。
~★~
民主主義は面倒くさくてうんざりするもの (46Pより)
(中略)「見ず知らずの他人」で構成されている社会で、
意見調整が不可欠なことは、あたりまえすぎるほどにあたりまえです。
国レベルでも同様で、自国のいいたいことだけ言い合っていたら、
すぐに戦争です。そうならないための技術として「外交」があります。
しかしそれは面倒なことでもあります。世の中には、物事をすぐに
「決めつける」人も、何度言ってもこちらを理解しようとしない
「わからず屋」も、たくさんいます。そしてお互いに、
自分は柔軟で、異なる意見を受け入れる力を持っているが、
相手こそが「決めつける」人であって「わからず屋」だと思っています。
全ての戦争は「正義」の名の下に行われています。
(中略)
しかしそれでも、誰かに任せるのではなく、自分たちで引き受けて、
それを調整して合意形成していこうというのが、
民主主義というシステムです。
したがって、民主主義というのは、まず何よりも、
おそろしく面倒くさくて、うんざりするシステムだということを、
みんなが認識する必要があると思います。
「民主主義がすばらしい」なんて、とてもじゃないが、
軽々しくは言えません。
~★~
もっともっと、引用したい言葉はありますが、
この湯浅さんの言葉を借りれば、
ノルウェーの人々は、自分たちがこの面倒くさい民主主義の
主権者であること理解した上でスウェーデンから独立し、
自分たちで立憲君主制を選び、王を迎え入れ、
政治は自分たちの代表者に任せるというシステムをとりました。
そして、王様はそれを痛いほどよくわかっていたので、
これだけ脂汗の出る苦しみの三日間を過ごしたわけです。
自分の決断で、今後ノルウェーの国民の命は危険にさらされ
沢山の人が傷つくかもしれない。
しかし、この国の根本を足元から崩すような決断は
死んでもできない。
ホーコン7世の苦しい胸の内が手に取るように伝わる映画でした。
私たちの国の民主主義を振り返るタイミングを
もらったような映画です。