はまぐり映画日記32 「教誨師」
2018年10月20日鑑賞。
大杉漣さん最後の作品です。
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6人の死刑囚と、彼らが希望したが故に面会に来る教誨師との対話。
実はまだ、天国へ旅立ってしまった大杉漣さんという存在に
センチメンタルになっておりましてあんまりまともな感想になっていません。
いやぁ、素敵な俳優さんでしたね。
あのごついお顔には優しさも厳しさもにじみ出ていました。
人生を全てわかったような上から諭すような人間ではなく、
自らも複雑な過去を抱えたまま生きる宗教者を
あまり偏りなく淡々と演じていました。
牧師佐伯も、死刑囚の6人との対話を通して
自分と向きあうことになる一人の人間でした。
罪を犯した人々のそれぞれの語りには、
何かおかしみも感じつつ、切なさもじわじわと感じました。
私はなぜ映画が好きなのかと言うと、
作品を観た後に「こうあるべきだ、こう考えるべきだ」というところに
辿りつく事よりも、何かの側面をありのままに
(あるいは何かのフィルターを通して)物語や物事を見せられて
結局どういうことか結論に至らずともぐるぐると思いを巡らせるのが
好きなんだなぁと思います。
この作品もそうかもしれません。
死刑制度ってどうなのよ!?とか、
この犯罪ってどうなのよ?というあからさまな
問いかけをしているわけではないけれど、
少なくとも人が人を裁くにあたり、
どこまで許されるのか、なんていうことを
考えたりするきっかけにはなります。
ぜひぐるぐる考えたい方は観てください。