Hamaguri Ryoko-Soloris Works

ソロ活動のリス改め「はまぐり涼子」、絵を描く。

はまぐり映画日記18 「犬ヶ島」1, June, 2018

日本文化と、日本の映画や俳優への沢山のオマージュが込められた

とっても面白いストップモーションアニメ。

パペット達のおもしろいこと、おもしろいこと。

そして、豪華絢爛過ぎる声の出演陣。

最後の方にちょっとだけ出てくる筆頭執刀医の役が

渡辺謙さんなのですが、手術中のつぶやきがたまりません。

ああ、なんかまだ見逃しているものがいっぱいありそうです。

もう一度観に行きたい!

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はまぐり映画日記17 「レディー・バード」1, June, 2018

「つぐない」の少女の時も可愛らしかったけれど、

23歳で瑞々しい等身大の17歳を演じるシアーシャ・ローナン

好きな女優さんの一人です。

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今や中年の私からすると、娘の気持ちと母の気持ちどちらとも

遠ざかりつつ、近づきつつ、どちらでもない中でのほどよい共感。

あああの頃って色々揺れてたな、という感情も

恥ずかしいようなくすぐったい気持と共に湧きあがりますが、

母親になっていてもおかしくない年頃になると

稼ぐことの大変さとか、色々経験してきたが故に

苦労してほしくない「よかれ」の思いが伝わらないこととか、

親側の気持ちにも近づけるのがいいなと思います。

どちらにも相手を思う心があって、でも上手く伝えられなくてケンカしちゃう。

そういうもどかしさも伝わる物語で、シアーシャの素晴らしい演技

ばかりが注目されがちだけど、相対する母や控えめな父、

怒鳴ってばかりの兄と居候の恋人たちの存在あってこそ

輝いているのだと思います。

一人目の彼氏役は、マンチェスター・バイ・ザ・シー

いまどきの少年を演じたルーカス・ヘッジス。

二人目の彼氏役は、いまをときめくティモシー・シャラメ

どちらもいい存在感でした!

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はまぐり映画日記16 「ピーターラビット」

大切な子供時代の児童文学が実写版映画になる場合、

思いきって話をアレンジしてしまうのは

違う物語として楽しめる一つの方法なのかもしれません。

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はまぐり映画日記15 「ラッカは静かに虐殺されている」30, May, 2018

非常にハードなドキュメンタリーです。

まずシリアの状況が非常に遠く感じられる人が圧倒的に多い日本では

なかなか観る人も少ないかと思いますが、私が行った日は

レディースデイということもあって割りと人が入っていました。

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2010年末に起こったチュニジアでの抗議運動から

アラブの春が始まり、独裁政権への反対運動がシリアでも起こりました。

シリア政府、それに抗議する反体制派、

その争いに紛れ込み内乱を更に複雑化させている

ISなどのイスラーム過激派の存在があるために、

いまや日本人の理解を超えた混乱状況です。

そんな中で、ISがシリア北部のラッカを制圧し、

街は荒らされ、公開処刑が続くとんでもない状況に

人々は追いこまれてしまいます。

名もなき市井の人々が家族を拘束され、拷問され、処刑されるという

事態に直面していたにもかかわらず

そんな状況は世界で報道されることもほぼなく、

たまに流れるのは大きな攻撃のニュースばかりでした。

 

そんな中、普通の市民である人々が秘密裡に

結成したのが「ラッカは静かに虐殺されている

(Raqqa is Being Slaughtered Silently)という集団です。

そんな彼らを追ったドキュメンタリーがこの映画なのですが(前置きながい!)

観る人は彼らの勇気に敬服する気持ちが起こると同時に、

無力感と恐怖と、彼ら市民記者が抱える見えない未来への不安も

感じるかもしれません。

私は、そうでした。全然頭がまとまらないままです。

彼らはシリアを脱出し、トルコに潜伏し、

ドイツへ逃げ、場所を転々と変えながら、

決死の覚悟でラッカの現状を伝える現地の記者たちと

連絡を取り、慎重に情報を発信していきます。

そんな国外の彼らにもISの手は忍び寄り、

彼らを脅迫し、報復の警告をし続けるのです。

RBSSの彼らも、自分たちが殺されるかもしれないことを

毎日覚悟して生きている。

そんな状況、私だったら耐えきれません。

 

すでにぼろぼろの彼らの精神を支えるものは何なのでしょう。

あるジャーナリストは、彼らの立場になって考えてみましょう、という。

けれど、それはあまりにも難しい話です。

ただ、私は耐えきれないだろうという想像だけは出来ます。

家族を、友人を次々と殺されたら、彼らを突き動かす原動力は

憎しみなのでしょうか。

真実を伝える、という誇りなのでしょうか。

 

子供が生まれ、その小さい手を握る一人の記者も

もう自分が二年後には生きていないかもしれないという。

私たち日本人が普通に今暮らしている状況では

想像を全く越えた話です。

 

宗教を悪用して正義を振りかざし粛清していくような

全く分かり合えない相手に対して、

自分はどういう行動をするのか。

ISに武器ではなく情報発信で立ち向かう彼らの姿を見ながら、

私は同じことができるという自信もなく正直途方にくれました。

 

この映画上映があった5月の始め、数年前に東京で開催された

小さなシリア映画祭でお会いした方がトークショーに出られました。

認定NPO「国境なき子供たち」で、ヨルダンにおける

シリア難民の子供たちの教育支援を行う松永晴子さん。

ヨルダンにおけるシリア難民支援 | 国境なき子どもたち

彼女とつい先日Facebookでこの映画についてやりとりをしました。

ジャーナリスト堀潤さんと彼女がお話した内容は

横浜シネマリンのウェブサイトで動画が公開中です。

期限があるかもしれませんがご興味あれば観てみてください。

ラッカは静かに虐殺されている | 横浜シネマリン

ついでに彼女の活動がわかる最新記事はこちら。

(自分が発言したままの記事にはなっていないと仰っていましたが最新のため)

「国境なき子どもたち」松永晴子さんか見たシリアの惨状 | 女性自身[光文社女性週刊誌]

 

戦火の中、誰かを失くして家族と逃げてきた多くの子供たち。

シリアのすぐ隣でそんな子供たちの教育支援をしている

松永さんの視点もとても大事な視点だと思いました。

RBSSの勇気ある行動を追うドキュメンタリーに対して

あまりに失うものが多い中、どこまで彼らは続けるのか、、、

そんな言葉を吐露した彼女は、映画を全否定してしまったなんて

仰っていましたが、私はそんな風には思いませんでした。

それくらい、色んな感情がこみあげてくる映画であると思います。

こういうものは、「めんどくさい」「いちいち関わっていられない」

そう思っている人も多いでしょう。

私だって、映画は観たけれど何か具体的なことができるかと

言われると正直なにも思いつきません。

けれど松永さんの活動はもっと頭に入ってくるし、

もっと身近に引き寄せられるし、こどもたちの間接的支援という形なら

何かできることがあるのかなと考えられるような気がしました。

どうぞご興味ある方は彼女のブログも面白いので

読んで見てください。文章が、いいです。

鯨を推しはかる気分研究所

 

はまぐり映画日記14 ドキュメンタリー「ヴァーサス:ケン・ローチの人生と映画」27, May, 2018

またしても書き殴り備忘録ですが、面白いドキュメンタリーだったので

ブログにも残しておきます。

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見た目は穏やかな紳士だけれど、作り出す映画は社会の弱き人々を

見つめ、国や政治の在り方を問うような作品ばかり。

81歳のケン・ローチが歩んできた映画人生を振り返る内容です。

これを観た上でケン・ローチ作品を観るか、

何か一つでも作品を観てからこのドキュメンタリーを観るか。

悩むところです。(笑)

労働階級と貴族階級の格差の歴史を歩んできたイギリス社会で

1960年代に初めて労働階級による労働階級の人々を描いた作品を

BBCで撮ったローチ監督は、多くの批判にあい、一時期は全く評価されず、

映画を作れない不遇の時も経験しています。

「人々の暮らしを描くとき、政治は不可欠な要素だ」と言います。

描き方はまちまちだが、どんな場合であれ、その背景に政治は存在する。

イギリスには嫌われ、フランスでは大賞を受けるほど尊敬される監督。

沢山の対照的な印象や意見や評価に包まれたケン・ローチを通して

人間そのものの抱える多様な側面を見るかのようなドキュメンタリーでした。

こういう作品や人に興味がない人は、

びっくりするほど全く関知せず通り過ぎます。

危険分子として疎ましがられても

映画を通して社会の在り方を問いつづけるこの監督の

一本筋の通った生き方には、ちょっとぐっと来るものがありました。

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はまぐり映画日記13 「恋するシェフの最強レシピ」9, May, 2018

たまたま水曜日のレディースデーで何か面白い映画ないかな~と

ググっていたら出会ったこの映画。

金城武はカッコイイとは思っていたけれど、なんか今回の金城さん

ちょっと渋みが出ておるではないか!

思わず頑張って観に行ってしまいました、年甲斐もなく。。

最近、こういう軽めで可愛くてラブリーな映画観てなかったので

単純に楽しかったです!(笑)

ホテルを買収しにきた美食家の社長が、若い女性シェフの料理に胃袋を掴まれ、

そのうちハートを打ち抜かれてドタバタな感じの軽いロマコメ。

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日本語タイトルがこっぱずかしいけれど、

今年45歳、俳優金城武の眼福ぶりたるや、いやはや。

若い頃より中年の今が断然かっこいいぞ、この人!

ストイックで変人で孤高の敏腕社長という

二枚目の三枚目設定も大変お似合いでした。

ヒロインのドンユイは美人じゃないけれど

清涼感と可愛らしさにあふれていました。

途中キラッキラなライバル料理人として出てくる

リン・チーリンの方が断然美人ですが、

ドンユイがとにかくチャーミングで

応援したくなる雰囲気を醸し出しまくっております。

コメディですし、香港中国映画特有の突っ込みたくなる

面白さ満載なんですけど、よくできてますよ、ロマコメとして!

わたしゃ嫌いじゃない、いやむしろ好きだ!

と、金城衝撃波にまんまと撃ち抜かれた中年の偏った感想でごめんなさい。

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はまぐり映画日記12 「ザ・スクエア 思いやりの聖域」15, May, 2018

頭の片隅で気になっていた映画です。

人間の理想と現実。独特な物語の運びと、ユーモアと、不気味さ。

メインの話の流れも面白いですが、脇を支える場面場面に

人間の身勝手な行動や、集団で動く時の怖さが

散りばめられています。

イケメン北欧人のプライドに切り込むアメリカ人女性もなかなか笑えました。

 

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人間は矛盾に満ちていて、不完全。

そんな姿を見せるこの映画は楽しいものじゃないかもしれないけれど

最後の主人公の態度はほんのりやり直せる未来が見えたような気がします。

 

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